2012年06月01日
大船渡市からの現状報告と沼津市の防災について
昨日は、ぬまづ産業振興プラザで岩手県大船渡市の渕上議員の講演があった。NPO法人NVNが主催したものであり、多くの議員も参加した。
その日は午前中、ヘリコプターから沼津市の全域を観察し、陸前高田と全く同様の海岸線であることを指摘。
沼津市はいつ来てもおかしくないと言われている東南海三連動地震に対して、一刻も早い対策を講じるべきだという。
住民はゴルフ場のある高台に移転し、ゴルフ場は海岸に持ってきたらどうかと提案。先ずは安全を考えて町を作っていかなければならないと断言。
そして海岸沿いにある保育園や小学校は、自分たち二の舞にならないためにも早く移転をすべきだと警告する。震度6の地震の時は、体が全く動かず、、子どもや高齢者は走れなかった。避難の確保は先ず、その人たちをどうするのかが課題。
今後、ますます高齢化を迎える中で深刻な問題である。だからこそ、今すぐにでも危険な海岸線の学校施設等は高台に移転すべきであると指摘する。
陸前高田の市役所は海から2.5キロで海抜6mの所にあった。第1次避難所は5~6キロ先の体育館で、そこに150名からの人が避難。しかしその避難所がいっぱいでそこには入れなかった人は次の避難所に向かい、その人たちは助かったが、150名は全員亡くなったという。
また津波は川をさかのぼって7キロ遡上したという。沼津市も同様の地形であり、机上での被害想定よりも、まずは現場を見ることであり、避難場所の見直しをした方がいいのではないだろうかという。
幸い、大船渡市役所は難を免れ、すぐに災害時の拠点として機能したが、そうでない町はやはり復旧復興が遅れている。
市民の命を守るには役所が機能していなければならないということを痛感したという。
また、がれきの広域処理に関しての質問には、「大船渡は太平洋セメントが山手側にあり、300t//日のがれきを処理することができ、その大半はセメントの骨材につかうことで、瓦礫の処理の目途はつき、他市のがれきも受け入れている。基本的に、がれきはそのまちで自己完結すべきであり、仮設のプラントを作ってもらえれば、自分達の所で処理することができ、雇用も確保できる。何故、広域処理をするのかわからない・・・」と言われた。
仮設住宅に関しても、その建て方や立地に関してもアドバイスがあった。
住民同士のコミュニケーションを図るためには玄関向きを一方向にせず、向き合わせることで、日常的な出這入りの様子が分かるので、安否確認もできるうえ、会話もできる。
しかし現実は、玄関を同じ方向に建てたために、お互いが顔を合わせることがなく、コミュニケーションが取れなくなり、インフラ整備をするにも非効率的であったという。
また学校のグランドに仮設住宅を建てたのは安易な考え方で誤りであったと断言。、長期にわたる避難生活の場合は、子どもたちの学校生活を優先すべきで、校庭で遊べない子どもたちの心身のストレスはいま大きな問題になっているという。
仮設住宅は3,000?の広い処に建てることが、前提であったから、学校のグランドという発想でしかなかったが、それも大きな誤りで、地域のごとに小単位で仮設住宅5~6棟を建てられる遊休地はいくらでもあり、集団生活のストレスも小地域単位の方が緩和できたはずで、住民のストレスもここまで負担をかけなくてもよかったはずという。
避難訓練や避難路の確保は机上で考えても何も役に立たないことを自分達は学んだ。先ずは現場に行ってみるべきだ。そして、避難場所の見直しをしてほしい。怖いぐらい沼津市は陸前高田と似ているということを・・・