2012年03月17日
24年度一般会計予算の反対意見
3月15日議会の最終日、24年度の一般会計の予算について反対をしました。
問題点
・市税収入の落ち込み
これはリーマンショック以来回復をしていない。人口減少による要因もあるなかで、生産年齢人口の減少がある。この状況は今後も景気が回復をしても市税収入の回復は難しい。
・基金の取り崩し
財政調整基金の残高は10億円を切る。それでも足りず、条例改正をしてまでも他の基金も取り崩す。
・退職手当債の借入
24年度の退職者のために、後年度の人たちまでが負担するのは、市民の理解は得られない。
・投資的経費の連続上昇
どこの市町も高齢化による扶助費の増加で財政状況は厳しく、新しい建設事業は手控えざる得ない。その割合が、扶助費19.3%、投資的経費19.2%とその占める割が毎年大きくなっているのは異常。
・鉄道高架化のリスク
国の補助金が55%・県22.5%・市22.5%。国の財政状況が厳しい中、国の予算が欠けた時は、県・市がどれだけ負担できるのか。15年~20年の事業期間、そのリスクを背負ってまでもやる覚悟が市民にあるのか。
・市の保有する建物の6割が10年後には老朽化
市営住宅や橋梁、下水・水道管、公共建物等が昭和40年~50年代にたてられ、その老朽化が喫緊の課題。平成27年度までに焼却炉の建て替え。約200億円と言われている。
まとめ
借金や基金を取り崩すことで何とか24年度の予算のやりくりをしている。余りにもその場しのぎの長期展望のない、とても健全な財政運営とはいえない。
議第36号沼津市一般会計予算について反対の立場で意見を申し上げます。
先ず歳入から見ると市税の中の個人市民税、これは子供のための手当の支給による年少扶養控除や特定扶養控除の廃止によって4億円以上の増額になり、個人市民税は対前年度より2億円余りの増になりました。
しかし、これによって特に16歳以下のお子さんを持っておられる家庭の負担はこども1人につき、3万3000円の税負担になり、それに伴い所得税も増加し、家計の負担は大きくなります。
法人市民税はリーマンショック以来未だに、今までの税収入には戻っていません。対前年度より1億円の増になったものの、法人割は約1億円の減収で、事業者の収益が上がっていない状況です。
次に固定資産税ですが、3年に1回の評価替えで7億5000万円の減になっていますが、家屋の評価は例年並みの下げ幅です。
問題は償却資産が前年度に比べ7.6%の減。つまり事業者が先行き不透明な経済状況の中で、新規の設備投資ができない状況が見てとれます。
そして、固定資産税の減は都市計画税の減にも繋がっていきます。
国の地方財政計画においても、通常の収支は前年度より落ちているように、市税においては前年度より3億円の減となります。
リーマンショック以来、財政力の回復が見られないまま、沼津市は22年度から不交付団体から交付団体になり、その普通交付税も増えています。
そしてこれまで歳入の減収を臨時財政対策債を借入可能額目一杯に借り続け、財政調整基金は年度間の財源の不均衡を調整するという名目で毎年取り崩し、その一人当たりの基金残高は県下で最下位になるまでに来ています。
そして、なおも24年度はそれでも補い切れず、土地開発基金の条例変更をしてまで基金の処分ができるようにし、4億5000万円を一般財源に繰り入れしています。
そして沼津駅周辺総合整備基金繰入金は対前年度より14億円も少ない12億7000万円です。
土地開発公社が先行取得をした土地12億円分の買い戻しによるものです。14億円も減額せざるえなかった理由は、基金そのものの現金が底をついているからと推察します。
そして今回最も問題にするのは、市債である退職手当債6億円の借入です。
団塊の世代がどの時期に退職をするのかというのは、当然分かっていたことで、もう、団塊の世代のピーク時を過ぎたこの時点で、23年度に引き続き借りなければならなかった状況、何とか歳出の見直しをしてやりくりができなかったのかと思います。
災害とは違い予測できたにもかかわらず、この時期に来て借りなければならなかった見通しの甘さは本当に残念です。
今の職員が退職するための借金を、後年度の人たちが負担をしなければならない状況を、どう市民に理解してもらえるのか、これが健全なる財政運営と言えるのかと思います。
歳出に関してはこの支出の骨格である人件費と扶助費、公債費、投資的経費この主なものを見ていきますと、扶助費においては子どものための手当分10億円を除くと6億円の増であり、高齢化や財政状況が回復しない影響は生活保護世帯の増加を余儀なくしています。
高齢化になって扶助費が毎年膨らむのはどこの自治体も同様の社会現象だということは理解できるのですが、投資的経費が年々上がっている状況は他の自治体では見られないと言っても過言ではないでしょう。
歳入の根幹をなす市税収入が減少し、扶助費があがっている現実、限られた財源の中で、どう市民生活の安全安心を確保していくのかということを考えた時に、人件費や投資的経費を抑えるのは当然のことだと考えますが、この状況に危機感を覚えます。
そして今回、沼津駅周辺総合整備事業に総額68億7000万円予算計上されています。
そのうち、市負担分は47億円。総額の69%を沼津市が負担し、国負担の26%は社会資本整備総合交付金であり、県は5%の負担割合です。
この主な事業は駅北拠点施設整備事業。昨年からの継続事業で総額48億5000万円。そのうち24年度は37億円。これが大きなウェートを占めています。
国からの補助金、社会資本整備総合交付金は22年度に個別補助金を一つの交付金に一括したものです。
平成24年度の地方財政計画を見るとこの社会資本整備総合交付金そのものの額は前年度に対し減額されています。
また、24年度はこの交付金から新たな一括交付金が導入されるなど、この先行きは大変不透明な状況です。
15年20年かかると言われる鉄道高架事業は、この社会資本整備総合交付金が55%(県22.5%・市22.5%)を占めます。国の財源が欠けた時は建設する側のリスクが大きく関与するわけです。
県事業といえども、県も沼津市もこのリスクは背負わなければならない可能性があるということをどれだけの市民が理解しているのでしょうか。
社会資本整備総合交付金の額が予定額より減額された場合、補助うらである一般財源の確保は非常に困難です。
そして事業のための沼津駅周辺総合整備基金はそのほとんどが土地取得のために貸付され、24年度末の現金残高は10億円を切っています。
24年度はこの基金の現金がなくなってしまうことの危機感から、土地取得事業特別会計が持っている当面事業として使う予定がない土地を一般会計へ売り払い、その現金を沼津駅周辺総合整備基金へ繰り出し、現金が何とか底をつかないように工面している状況は、余りにも長期展望のない、刹那的な財政運営と言われても仕方がないのではないでしょうか。
もはや鉄道高架事業に費やすための基金はないに等しいというべきでしょう。
この24年度予算編成を見ればよくお分かりだと思いますが、借金や基金を取りくずすことでやっと財源の確保をしている状況ではないですか。
今後、市営住宅等の長寿命化計画、そして橋梁長寿命化計画の対象橋梁は120橋もあり24年度に着手します。
また沼津市の保有する公共建築物はあと10年もすると6割の270棟が築30年を迎えます。
このように市が保有する建築物の耐用年数の限界が始まっている中で、長期的な財政計画を図らなければならないというのに、24年度予算は単年度だけの財源確保に汲々としているわけで、とても健全な財政運営とはいえません。
24年度からPI事業が始まり、住民の合意形成を図るために、財政的な視点に立ち、今何を優先すべきか、その原点をもう一度見つめ直すべきと考えます。
以上を主な理由として反対の意見とします。