2012年05月16日
秦野市役所の公共施設白書
15日、秦野市役所へ行政視察に行く。
公共施設再配置推進課が取り組んでいる公共施設更新問題についてお話を伺う。
この取り組みは個々の課が管理する公共施設の更新問題を、一元的に公表したことにある。NHKのニュースでも取り上げられ、それが元で今回の視察に繋がったわけだが、やはり聞くと見るとでは大きな違いである。
日本は世界に例を見ない経済成長を成し遂げ、世界に例を見ないスピードで高齢化が進行するこの国で、今、深刻な問題が起きろうとしています。
近い将来「公共施設」を一斉に更新する時期がやってきます。
それは全国、どの自治体にも共通な課題です。その深刻なピークは30~40年先に確実に起きる。しかし現実はどこの自治体もその取り組みがされていないのではないだろうか。
ショッキングだったことは、秦野市ではこの先40年間の建物更新等費用が758億円かかると試算されたその金額の大きさでもあった。そして全てのハコモノを維持しようとすると、秦野市は財政破たんの道へ・・・と言いきっている。
秦野市の何がすごいかというと、行政の縦割り組織の弊害もあるなかで、見て見ぬふりをすることも今ならまだできるのに、この問題に真っ向から取り組んだことである。
少なくても沼津市では取組んでいないし、その危機感も共有はしていない。
深刻過ぎて解決できそうにもない問題を、何で秦野市で取組めたのか。そして今、全国からその取り組みについての行政視察が殺到しているという。
今、取り組めば、救いのない現存する公共施設の更新問題が何とか出来るかもしれない。
しかし、担当者の思いは・・・・・「何よりも将来の市民に対して無責任であってはならない。その一言です。」と言われた。
行政視察は私一人だけだったが、そのおもてなしにも感動。
資料の中に、沼津市の現状に合わせて、その問題が取り上げられていた。その意図するところは、「公共施設の更新問題」はどの自治体にも起こることであり、全ての自治体がその問題解決のために動きださなければならないと考えているからだという。
その資料の中には「全ての自治体がその問題解決のために動きださなければならないこととはいえ、こうした問題に執行部が自発的に取り組むためには、勇気が必要です。」と書かれている。
この秦野市では市長は大きな決断をしています。
4つの基本方針の中で、1・原則として、新規の公共施設(ハコモノ)は建設しない。
こレは市長にとって、政治生命の生命線であり、大きな決断である。現状を知った市民、特に若い世代は理解をしてくれているという。もうハコモノの時代ではないということを。
最後まで丁寧に機関銃のように説明をしてくださったことに敬意を表するとともに、この問題を見て見ぬふりはできないと覚悟を私なりに決めた。
最後に玄関までスタッフの方が見送って頂き、写真まで撮って頂いた。駅に向かって歩き始め、後ろを振り返るとまだ見送っていてくださっていた。